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保育士はやめとけ!と言われる理由と知られざるやりがいについて

「保育士は、やめとけ」というネットでの噂の背景には、保育業界が抱える様々な課題が影響しています。

同時に保育士という職業にもその職業ならではの魅力とやりがいも存在するため「保育士は、やめとけ」と言われる主な原因と、多くの保育士が仕事を続ける理由もお伝えしますので保育士を目指す人や現役の保育士、そして保育業界に関心のある方は、ご参考ください。

「保育士はやめとけ」と言われる5つの理由

1. 保育士の厳しい現実: 低賃金問題の深刻さ

「保育士は、やめとけ」と言われる最大の理由は、低賃金問題といわれ、厚生労働省が令和2年(2020年)に発表した、保育士の平均年収は約363.5万円と、全産業平均の約391.4万円を大きく下回っております

参考:厚生労働省 保育士の現状と主な取組 39ページ保育士の平均賃金等について

参考:日本経済団体連合会 定期賃金調査結果

この低賃金の背景には、以下のような要因があります。

  • 保育所運営の財政的制約
  • 保育士の仕事が「やりがい搾取」されやすい面がある
  • 保育士の労働が「女性の仕事」として過小評価されている社会的背景

具体的な例を挙げると、ある保育士は「月給20万円程度で、家賃や生活費を考えると貯金はほとんどできない」と語っており、「昇給の幅が小さく、10年働いても月給が数千円しか上がらない」という声も聞かれます。

多くの保育士が、生活に必要な収入を得るために副業や転職を考えざるをえない状況にあり「保育士はやめとけ」という声の根底には、この厳しい経済的現実があるのです。

2. 体力的負担: 休む暇なき保育現場

保育士の仕事は、想像以上に体力を使う仕事で一日の流れはこんな感じの働き方になるのです。

  • 朝7:30 - 開所準備、早朝保育
  • 9:00 - 本格的な保育開始(外遊び、製作活動など)
  • 12:00 - 給食の配膳、食事介助
  • 13:00 - 午睡の見守り(事務作業)
  • 15:00 - おやつの準備、配膳
  • 16:00 - 降園準備、保護者対応
  • 18:00 - 延長保育、清掃

このスケジュールからわかるように、保育士は常に子どもたちと一緒に走り回ったり、抱っこしたり、おむつを替えたりと、休憩時間も十分に取れないことが多く一日中フル稼働で働いているんですね。

ある保育士は「休憩時間は名ばかりで、実際には子どもたちの午睡を見守りながら事務作業をこなしています」というお話しをされていて「体力的な消耗だけでなく、常に気を張っているため精神的にも疲れます」という声も多く聞かれます。

この激しい労働環境は、体力の消耗だけでなく、精神的な疲労にもつながっているため「保育士は、 やめとけ」と言われている要因にもなっているようです。

3. 責任の重圧: 子どもの命を預かる重み

保育士は子どもたちの命を預かる仕事でもあるわけなのですが、この責任の重さは、想像以上で、具体的には以下のような責任があります。

  • 事故や怪我の防止
  • アレルギー対応
  • 感染症対策
  • 虐待の早期発見と対応
  • 発達障害の早期発見と適切な支援

食物アレルギーの対応一つを取っても、調理室との連携、配膳時のダブルチェック、食事中の見守りなど、細心の注意が必要で、ほんの少しのミスが取り返しのつかない事態をまねくこともあるのです。

一瞬の不注意が取り返しのつかない事態を招く可能性があるという緊張感は、精神的な負担にもつながっているのです。

4. ワークライフバランスの崩壊: 持ち帰り仕事の実態

保育士の仕事は、保育所を出たら終わりではなく、多くの保育士が、次のような仕事を家に持ちかえっているといわれています。

  • 保育日誌の記入
  • 翌日の活動準備(教材作り、環境構成の計画など)
  • 保護者への連絡帳作成
  • 月案・週案の作成
  • 個別の児童票の記入
  • 行事の企画と準備

この持ち帰り仕事のために、プライベートの時間が削られ、ワークライフバランスが崩れてしまい、仕事とプライベートの境界線が曖昧になってしまっているという不満をもつ方も少なからずいるようです。

5. 保護者対応: 増加するクレームの現状

近年、保育士が直面する大きな課題の一つが保護者対応で、核家族化や地域のつながりの希薄化により、子育てに不安を抱える保護者が増加しており、そのため、保育士に対する要求やクレームも増加傾向で、具体的には以下のような事例が報告されています。:

  • 些細なケガに対する過剰な反応
  • 特別な配慮の要求(食事、午睡など)
  • 他の子どもとの比較による不満
  • SNSでの情報拡散による風評被害
  • 保育士の私生活への干渉

このような難しい保護者の多様なニーズに応えることを求められる現状は、多くの保育士にとってストレスとなっています。

それでも保育士をやめられない10のやりがい

1. 子どもの成長に寄り添える喜び

「保育士は、やめとけ」という声がある一方で、多くの保育士が仕事を続ける理由の一つが、子どもの成長に寄り添える喜びで、日々の関わりの中で、子どもたちが新しいことができるようになったり、性格が豊かに育っていったりする姿を間近で見られることは、何物にも代えがたいことのようです。

具体的な例を挙げると:

  • 初めての歩行:ハイハイしかできなかった子が、つかまり立ちを経て、初めて一人で歩く瞬間
  • 言葉の獲得:喃語しか発していなかった子が、初めて意味のある言葉を話す瞬間
  • 社会性の発達:一人遊びしかしなかった子が、友達と協力して遊べるようになる過程
  • 自立心の芽生え:「できない」と言っていた子が、「自分でやる」と言い出す瞬間
  • 創造性の開花:何も描けなかった子が、想像力豊かな絵を描くようになる過程

「子どもたちの『できた!』という嬉しそうな顔を見ると、全ての疲れが吹き飛びます」と話す保育士もいたり、「子どもの成長に立ち会えることが、この仕事の最大の魅力です」という保育士もいるのです。

子どもたちの人生の重要な時期に深く関わることができるため、多くの保育士の仕事への情熱を支えているのです。

2. 保育士ならではの「感動の瞬間」の数々

保育の現場には、「感動の瞬間」が数多くあり、これらの瞬間というのは保育士の心に深く刻まれ、仕事へのモチベーションとなっています。

  • 泣いてばかりいた子どもが初めて笑顔を見せた時
  • 喧嘩ばかりしていた子どもたちが協力して何かを成し遂げた時
  • 自分の名前を初めて書けた時の子どもの誇らしげな表情
  • 苦手だった食べ物を初めて口にした時の驚きの表情
  • 運動会で最後まで走り切った子どもの達成感に満ちた顔
  • 劇発表で舞台上での緊張を乗り越え、堂々と演じきった姿
  • 卒園式での子どもたちの成長した姿と感謝の言葉

このような感動がある仕事が保育士なので、働くうえでの原動力になっているのです。

3. チームワークの醍醐味: 同僚との絆

保育の仕事は、決して一人で成し遂げられるものではなく、同僚との協力が不可欠で、困難な状況に直面した時、同じ志を持つ仲間と支え合い、乗り越えていく経験は、強い絆をうみだしているのです。

  • 行事の企画・運営での協力
  • 困難ケースの子どもや保護者への対応の共有
  • 保育の質向上のための研修や勉強会
  • 日々の保育における情報共有とフォロー体制
  • メンタルヘルスのサポート

この同僚との絆が、チームとして子どもたちの成長を支える喜びにつながっていて、個人では得られない達成感をもたらしているのです。

4. 創造性を活かせる職場環境

保育の現場は、保育士の創造性を存分に発揮できる場所で、季節の行事や日々の活動を計画する際、子どもたちの興味や発育段階に合わせて、オリジナルの遊びや教材を考案することも少なからずあるのです。

  • 季節に合わせた壁面装飾の制作
  • 子どもたちの興味に基づいたテーマ設定と環境構成
  • 発達段階に応じた手作りおもちゃの制作
  • オリジナルの歌や踊りの創作
  • 地域の特性を活かした独自のカリキュラム開発

この創造的な仕事というのは、大きなやりがいになっていて単に決められたことをこなすだけでなく、自身の個性や創造性を存分に発揮できる職業なのです。

5. 子どもから学ぶ新しい発見の日々

保育士は、子どもたちから常に新しいことを学んでおり、子どもたちの素直な反応や予想外の発言は、大人の固定観念を覆し新たな視点を与えてくれる、この学びの連続が保育士の仕事の喜びにつながっているのです。

子どもたちとの関わりを通じて、保育士自身も成長し続けるという、この点が、多くの保育士が仕事に魅力を感じ続ける理由にもなっています

6. 社会貢献: 未来を担う子どもたちの育成

保育士の仕事は、単に子どもを預かるだけではなく、未来の社会を担う子どもたちの心身の健全な成長を支援する、重要な社会貢献であり、この仕事の社会的意義を実感できることが、大きなやりがいとなっています。

この社会貢献の実感が、多くの保育士の仕事への誇りとモチベーションになっているので、子どもたちを通じて社会の未来を形作る重要な役割を担っているのです。

7. スキルアップの機会: 保育のプロフェッショナルへ

保育の仕事には、子どもの発達心理学、栄養学、安全管理など、様々な分野のスキル向上を目的とした学びの機会があります。

また保育の現場で直面する課題を解決していく中で、コミュニケーション能力や問題解決能力も磨かれていきます。

多くの保育所で定期的に研修会が開催され、最新の保育理論や実践方法を学ぶ機会が提供されていたり、保育士同士の情報交換や事例検討会なども、重要なスキルアップの場となっています。

プロフェッショナルとして生涯学び続けることができる、やりがいのある職業が保育士なのです。

8. 多様な働き方: 正社員から派遣まで選択肢の広さ

保育士は、多様な働き方ができる職業で、正社員として安定した雇用を選ぶこともできれば、派遣やパートタイムとして柔軟な働き方を選ぶことも可能なおです。

保育所だけでなく、幼稚園や認定こども園、児童養護施設など、活躍の場も多岐にわたるのですが、以下のような働き方があります。:

  • 正社員:安定した収入と福利厚生が魅力
  • パートタイム:家庭との両立がしやすい
  • 派遣:さまざまな現場を経験できる
  • 夜間保育:通常とは異なる時間帯で働ける
  • 病児保育:医療の知識も活かせる

この多様な選択肢が、様々なライフステージの保育士のニーズに応えており、保育士資格を持っていることで、自分のライフスタイルに合わせた働き方を選択できる自由があるのです。

9. 感謝の言葉: 保護者や卒園児からの喜びの声

保護者や卒園児からの感謝の言葉で、子どもの成長を喜ぶ保護者の笑顔や、「先生、ありがとう」という卒園児からの言葉は、保育士として何よりうれしいものです。

「保護者から『おかげで安心して仕事に行けます』と言われたことのある保育士は、この仕事を選んで良かったと心から思いました」と語り、「卒園した子どもが成長して訪ねてきてくれたときは、涙が出るほど嬉しかったです」という声も聞かれます。

これらの感謝の言葉は、日々の苦労や大変さを忘れさせてくれる魔法のような力を持っており、このような感謝の言葉が、多くの保育士の心の支えとなっているのです。

10. 生涯の宝物: かけがえのない思い出の数々

保育士として過ごす日々は、生涯の宝物となる思い出の宝庫で、子どもたちとの楽しい遊びの時間、行事での感動的な瞬間、卒園式での別れの涙など、これらの思い出は保育士の人生にとって素敵な思い出となっています。

単なる過去の出来事ではなく、困難な時期を乗り越える力となり、保育士としての自分の存在意義を再確認させてくれるもので、このかけがえのない思い出が、多くの保育士の心の支えになっているわけなのです。

まとめ

「保育士は、やめとけ」という言葉の背景には、低賃金や過酷な労働環境、重い責任などの題がありますが、これらの問題は、保育業界全体で取り組むべき重要な課題であり、改善への努力が続けられています。

一方で、子どもの成長に寄り添える喜び、感動の瞬間、社会貢献の実感など、保育士ならではのやりがいも存在し、これらのやりがいは、多くの保育士を支え、仕事への情熱を燃やし続けさせています。

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